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【熱力学的非エントロピーフィールド】
ねつりきがくてきひえんとろぴーふぃーるど。次元物理学において、全ての次元が解放状態にある空間を指す(※空間という表現も便宜的なもので、全く何もない“無”となっている状態)。
この宇宙は、総熱量―――エントロピーの増大によって膨張を続けている。これはビッグバンによる宇宙創生時に一次元から四次元のみが解放され、半解放状態の五次元を挟んで、あとの六次元から十一次元までが量子界面に閉じ込められて、熱変換を起こすようになった事による。これが宇宙膨張のエネルギーである。
熱力学的非エントロピーフィールドとは、全ての次元が解放状態である事=“無”、つまりビッグバン以前の状態のままの空間であり、言い換えれば宇宙の膨張に伴って広がる“ひび割れ”である。この内部では、距離や時間といった物理的要素が全く存在せず、これを人工的に造り出して通り抜ければ、これまでのDFドライヴでは不可能であった、制限なき距離の瞬間移動も可能となると言われている。これがいわゆる『トランスリープ航法』と呼ばれる航法である。
理論としては、ヤヴァルト銀河皇国が惑星キヨウの大陸国家であった時代に、すでに一応の完成を見ていた。あわせて『トランスリープ航法』の理論も確立されたが、膨大な量の重力子の空間投射が必要なこの航法は、皇国が銀河のほぼ全域に版図を広げた現在でも実用化に至っていない。
【この項おわり】
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