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【アクアダイト】
あくあだいと シグシーマ銀河系に存在する希少鉱物。対消滅反応炉から重力子を取得する効率を飛躍的に高める能力を持つ。超高圧電磁波を含む太陽光の照射を受ける海洋惑星で、なおかつその海にアクアマグダインという物質を含有する条件下でのみ産出される。
海洋表面で超高圧電磁波を照射されたアクアマグダインは、重荷電化して比重が変化し、海没する。それが深海に達すると、高水圧で結合を始め微細結晶となる。これを採取し、さらに高圧を掛けると結晶化が進むのである。
こうして精製されたものがアクアダイトであり、1メートル程度の長さの、淡い水色をした透明の六角柱に加工して使用する。ただし、その産出量は深海水1万立方メートルにつき1グラムしかなく、アクアダイトが非常な希少価値を持つ工業製品である理由となっている。
そしてその機能は精製までの複雑さに見合う高さであり、アクアダイトを使用した重力子コンバーターによって、対消滅反応炉から得られる重力子の量は、これが開発されるまでのおよそ百倍にもおよび、重力子航法、特に恒星間航法のDFドライヴを飛躍的に発展させる事となったのである。
これほどの重要な機能をもつアクアダイトは当然、銀河皇国において最高レベルの戦略物資であり、アクアダイトを産出する星系を持つ星大名は戦略的優位性を得ると同時に、周辺国との摩擦が必要以上に高まる事になる。そのためアクアダイトに関しては、ヤヴァルト銀河協約の別条項として銀河皇国の管理下に置かれており、産出量の報告と流通過程の被監査が義務づけられている。
ただ、一部にはこの条項に違反し、非公式の産出惑星を隠匿したり、産出量に虚偽の報告を行う星大名も存在し、しかも年々増加傾向にあるため、星大名間の火種となっている事は間違いない。
【この項おわり】
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