224人が本棚に入れています
本棚に追加
僕に許された外出は
唯一敷地内にある教会への礼拝だけだった。
薄暗い地下牢を抜け出し
庭で摘んだ花を神様に捧げに行く。
門の前にはいつだって教会の世話役がいて。
王様の言いつけ通り
僕を逃がすまいと見張っていた。
「今日は日曜日か――」
普段は全くと言っていいほど
人気のないこの教会も。
日曜の朝だけは近隣の信者が朝の礼拝に訪れる。
今日はその日だ。
薄いベールをかぶったご婦人たち。
庭でバラを摘む僕に会釈して教会へ入ってゆく。
最初のコメントを投稿しよう!