episode175 酔狂サーカス②

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「おまえの夢だ」 冷たい指先を包み込むようにして 征司はおもむろに僕の手を握った。 「僕の?」 「おまえが――」 言い澱む。 「僕が?」 いい夢じゃなかったのだろうか。 それとも 夢の続きを思い出せないのかもしれない。 「ただの夢だ」 頭を振りながら征司は身を起こした。 壁に掛けたシャツに手を伸ばす。 「おまえの言うとおりだ。いつまでもこんなところで呆けてばかりいられない」 行くんだ。 ホッとした。 ――それがいけなかった。
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