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「おまえの夢だ」
冷たい指先を包み込むようにして
征司はおもむろに僕の手を握った。
「僕の?」
「おまえが――」
言い澱む。
「僕が?」
いい夢じゃなかったのだろうか。
それとも
夢の続きを思い出せないのかもしれない。
「ただの夢だ」
頭を振りながら征司は身を起こした。
壁に掛けたシャツに手を伸ばす。
「おまえの言うとおりだ。いつまでもこんなところで呆けてばかりいられない」
行くんだ。
ホッとした。
――それがいけなかった。
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