episode175 酔狂サーカス②

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「すぐに戻る」 言い残し出ていく征司の 背中の静けさにぞっとした。 教会に火が放たれたのは それから数時間後のことだった。 「――火事だ!」 その声を聞いた時。 僕は机に向って世話役が運んできた 味気ないマッシュポテトをつつきスープを飲んでいた。 落ち着いたふり。 何をしていてもえもいわれぬ緊迫感が 肌の上をひりひりと走り続けた。 やがて 「和樹――っ!」 騒音に交じって聞こえてきたのは 「九条さん……!」 あの人の声だった。
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