episode175 酔狂サーカス②

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チャリチャリと ここへ――深い地下へと続く鍵の鳴る音がする。 近づいてくる足音は荒々しい。 あの人のものでないように。 僕の手をスプーンが滑り落ちた。 おかしいけれど この期に及んで身なりが気になり鏡を覗き込む。 あの人と会う時はいつだって 少しでも美しくいたかった。 「和樹――!どこだ?」 「九条さん!」 呼び声に 精一杯応える僕の前に ようやく姿を現した。 「和樹!」 自ら松明を手にした 僕の貴公子。
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