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繋がれた手にグッと力がこもる。
と同時――。
フラフラと現れた黒い影が
僕らの前に立ち塞がった。
「征司お兄様……」
近づくにつれ
輪郭がくっきりと浮かび上がる。
これこそ
僕が恐れていた事態だ。
「和樹……」
だけどこうなること
心のどこかで分かってた。
「どこへ行く?」
征司が一歩僕らに歩み寄ると。
完全に燃え尽きた十字架が
ただの木炭となり教会の屋根から落下した。
「近づくな」
九条さんが僕を背中に庇うようにして
咄嗟に叫んだ。
「君は信用できない!」
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