episode175 酔狂サーカス②

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しかし緊迫したこの異常な空気の中。 征司はどこかふんわりと 微笑んでいるように見えた。 「俺の夢の城――」 とぐろまく炎に照らされながら 自嘲気に囁く。 「まったく――」 空を見上げるように首をそらす。 僕の愛した喉仏が闇に浮かび上がる その様を見た途端。 衝動だ――。 僕は九条さんの手を振り切り放そうとした。 だけど今度ばかりは 彼はそれを許さなかった。
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