episode175 酔狂サーカス②

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九条さんは僕の手を固く握りしめ もう決して放そうとはしなかった。 「行かせない。たとえ君の骨が砕けても」 らしからぬ言葉。 だけど驚きはしない。 彼が優しいだけの男じゃないことは もう知っていたから――。 「うん……」 だから一度は抵抗するのをやめた。 そもそも僕は 誰より九条敬を愛していたし。 自分から彼の手を放す必要なんて 万が一つにもないのだ。 本当は――。
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