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九条さんは僕の手を固く握りしめ
もう決して放そうとはしなかった。
「行かせない。たとえ君の骨が砕けても」
らしからぬ言葉。
だけど驚きはしない。
彼が優しいだけの男じゃないことは
もう知っていたから――。
「うん……」
だから一度は抵抗するのをやめた。
そもそも僕は
誰より九条敬を愛していたし。
自分から彼の手を放す必要なんて
万が一つにもないのだ。
本当は――。
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