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だけど――。
征司がフラフラしながら歩き出し
僕から離れてゆくと分かった瞬間。
「お兄様……征司お兄様ぁっ……!」
やっぱりどうしようもなく辛くて
僕は必死に身をよじった。
「放してっ……九条さん……!お願いだから……」
隠しようがない切なさが
僕を駆り立てる。
「待って!征司……!征司ぃっ……!」
分離不安を抱えた
子供みたいに泣き叫び
「和樹……!」
僕は一番愛している人の手に
爪を立てさえした。
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