episode175 酔狂サーカス②

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だけど――。 征司がフラフラしながら歩き出し 僕から離れてゆくと分かった瞬間。 「お兄様……征司お兄様ぁっ……!」 やっぱりどうしようもなく辛くて 僕は必死に身をよじった。 「放してっ……九条さん……!お願いだから……」 隠しようがない切なさが 僕を駆り立てる。 「待って!征司……!征司ぃっ……!」 分離不安を抱えた 子供みたいに泣き叫び 「和樹……!」 僕は一番愛している人の手に 爪を立てさえした。
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