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初めに僕が目にしたのは
選び抜かれた皮靴の底だった。
「征司……?」
そして
洒落たイタリアンスーツの
凛としたその背中――。
「嘘だろ……」
ポケットに手を突っこんだまま
まるでふらり
ショップのウインドウでも覗くかのように。
「征司お兄様ぁっ……!!」
征司は一歩また一歩と
燃え尽きる寸前の
夢の城へと吸い込まれて行った。
そのあとどうなったかって?
煙を吸いすぎたのさ。
「和樹っ――!」
僕はそのまま気を失って
幸か不幸か
それからあとのことはまだ何も知らない――。
おまえの首に口づけしたよ7 【完】
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