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「愛なんて幻だと……なぜ分からない!」
征司は苛立たし気に怒鳴って
僕の頬を叩きつけ
ベッドに投げ捨てた。
「……分からないよ」
僕は叩かれた頬を抑えたまま
声高に笑った。
「当のあなたがそんな風な癖に――」
乱れた髪。
こんな生活を続けているから
顔色は青白く一回り痩せた気がする。
なのに眠りさえ忘れた
狡猾で獰猛なその姿は。
愛に溺れる男のそれでしかない――。
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