episode175 酔狂サーカス②

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「愛なんて幻だと……なぜ分からない!」 征司は苛立たし気に怒鳴って 僕の頬を叩きつけ ベッドに投げ捨てた。 「……分からないよ」 僕は叩かれた頬を抑えたまま 声高に笑った。 「当のあなたがそんな風な癖に――」 乱れた髪。 こんな生活を続けているから 顔色は青白く一回り痩せた気がする。 なのに眠りさえ忘れた 狡猾で獰猛なその姿は。 愛に溺れる男のそれでしかない――。
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