living.2

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目の前には、少し顔色の悪い見合い相手の女のヒト。 緊張してる、とか。 そんなわけないか、これで四回目のお見合いらしいし。 母さんに脅されて渋々お見合いをすることにしたけど、こんなヒトにお目にかかれたんだからそれはヨシとしよう。 相手の名前は北原あげは。 蝶々の名前だろ、ソレ。 写真と簡単なプロフィールを事前に見て思ったけど。 うん、でもちょっと納得。 艶やかで、どこか儚そうな、それでもソコにいるんだと舞うような存在感。 北原あげはの母親の知り合いがやっているという、この豪華な旅館に華を添えているような。 写真を見ただけじゃわからなかった、ホンモノのキレイさ。 このヒトをオトしたら気持ちいいんだろうな、とかそんな考えが過ぎって。 それと、少しの顔色の悪さに、外の空気を吸わさねばと思い連れ出した。 「なぜお見合いをしようと思ったんです?」 プロフィールにはこの春三十歳と書かれていたな。 自分よりも三つ年上でこんな席だし、とりあえず敬語でいかせてもらう。 コレが失敗した時、母さんが怖そうだし。 って、返事がない? 中庭について後ろを振り返れば、おもいっきり自分の世界に入ってる。 ムカついたので、少しイタズラをしてみたくなった。 顔色悪いのは全く変わってないけど。
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