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目の前には、少し顔色の悪い見合い相手の女のヒト。
緊張してる、とか。
そんなわけないか、これで四回目のお見合いらしいし。
母さんに脅されて渋々お見合いをすることにしたけど、こんなヒトにお目にかかれたんだからそれはヨシとしよう。
相手の名前は北原あげは。
蝶々の名前だろ、ソレ。
写真と簡単なプロフィールを事前に見て思ったけど。
うん、でもちょっと納得。
艶やかで、どこか儚そうな、それでもソコにいるんだと舞うような存在感。
北原あげはの母親の知り合いがやっているという、この豪華な旅館に華を添えているような。
写真を見ただけじゃわからなかった、ホンモノのキレイさ。
このヒトをオトしたら気持ちいいんだろうな、とかそんな考えが過ぎって。
それと、少しの顔色の悪さに、外の空気を吸わさねばと思い連れ出した。
「なぜお見合いをしようと思ったんです?」
プロフィールにはこの春三十歳と書かれていたな。
自分よりも三つ年上でこんな席だし、とりあえず敬語でいかせてもらう。
コレが失敗した時、母さんが怖そうだし。
って、返事がない?
中庭について後ろを振り返れば、おもいっきり自分の世界に入ってる。
ムカついたので、少しイタズラをしてみたくなった。
顔色悪いのは全く変わってないけど。
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