living.10

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「これはどういうことだ?」 社長室に呼び出され、テーブルの上にバサッと投げられる雑誌。 そこにはこの間の買い物デートの写真。 やっぱり撮られてたか。 口頭だけじゃムリなことはわかってたけど。 どうせ撮られるんなら手を繋いでおけばよかった。 「姉です」 「お前の叔父は誰だ」 「社長」 「ウソをつくな、わかりきっていることを」 母の兄である社長に、こんなウソ通じないことなんてわかってる。 「そうじゃなくて、この記者にそう言ったんだよ」 今は周りに誰もいないから、煩わしい敬語は使わない。 あの時会ったのは、ファンじゃなくて記者だったんだ。 それをあげはさんには言わなかっただけで。 雑誌には『五十嵐雷、年上女性と買い物デート』と見出しがついてる。 あながち間違いではない。 俺はデートのつもりだったから。 あげはさんはホントに買い物だけだったみたいだけど。 「だがその記者はそれを真に受けなかったんだろ。どこの女性だ」 「今月の初めに母さんに強制的にお見合いさせられたヒト」 「…あぁ、あの中学の同級生だったって言う」 「え、何ソレ知らない」 そんなことあげはさんも言ってなかった気がする。 ……イヤ、聞かなかったのは俺か。 てか、あげはさんは今でも知らないかも。 確かにあの時、初対面にしては仲が良かったようにも思える。
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