living.10

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「どっちも名字が変わってるから、そこに行って初めて知ったらしい」 「そう、なんだ…」 それならそうと言ってほしかったよ。 イヤ、でも、あの奇行は知り合いゆえの行動ということか。 トントン拍子にも程があるとは思ったんだ。 「それで?」 「母さん達のスバラシイ配慮で現在一緒に住んでるけど?」 「違う、コレをどうするか聞いてるんだ」 どうするって言われても… この雑誌もう出てるヤツじゃ? 雑誌の中の楽しそうな自分。 確かこの時はあげはさん全く笑ってなかったと思う。 まぁ、この時の会話に笑うとこなんてなかったけども。 俺がずっとデートって言ってたから、笑顔なんかないままにいろいろ聞いてきてたけど、不本意っぽく。 こうして写真に撮られて、ソレを見て思う。 コレは誰がどう見ても、姉と弟の関係なんかじゃない、と。 「とりあえず、ソレ明日発売なんだが、揉み消すか?」 「……別にこのまま出てもいいと思うけど」 やましいことをしているわけじゃない。 普通のお見合いとちょっと違うだけで。 ヤ、普通ってのは知らないけれど。 ただ、見合いの数時間後から一緒に住んでるっていうだけのこと。 「今回は本気なんだな」 「……さぁ?」 叔父の言ってることは今までのことだと思う。 知名度とこの容姿をカサに結構遊んできたから。 週刊誌に写真を撮られることなんて、コレが初めてじゃない。 その度にこうして呼び出され、そしてソレを揉み消してきた。 だけど、今回は今までとは違う。 あげはさんはイヤがるかもしれないけど。
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