living.10

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「揉み消すこともできるけど」 『…ん~、今ソレしたところでまた撮られる可能性はあるわけでしょ?』 「まぁ、あるだろうね?」 ソレもないとは言い切れない。 『いいよ、別に、揉み消すなんてめんどいことしなくて』 自分がするわけじゃなくてもめんどくさいんだ。 すごい、さすがあげはさん。 なんか尊敬する。 『どうせ今出てもあとから出ても、別に何か変わるわけじゃないでしょ』 「じゃあ、このまま出ても大丈夫?」 っていうか、コレが出ることによってさらに狙われると思うんだけど。 特に俺が。 『あ、その週刊誌ちょーだい』 「ちょーだいって!まさかの発言にビックリだよ!」 『え?そう?』 ビックリしすぎて、俺もつい声に出ちゃったよ。 目の前で叔父がハラを抱えて笑ってる。 なぜ笑われているのかわからないまま、ニ、三言葉を交わして電話を切った。 「雷の周りに今までいなかったタイプ、だな」 社長の顔じゃない、叔父の顔でそう言われ眉を寄せる。 自分でもそう思ってるのに、ヒトに言われるとなんかおもしろくない。 「お前が取り乱すとこなんて初めて見たな」 ククッと喉を鳴らして笑ってるけど、こっちはおもしろくなくて不貞腐れる。 あげはさんが他のヒトと違うのは、自分が一番わかってること。 だから、相手をするのに今までと同じようにはいかなくて。 いい意味であげはさんといると、自分を捜さなくちゃいけなくなる。
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