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「揉み消すこともできるけど」
『…ん~、今ソレしたところでまた撮られる可能性はあるわけでしょ?』
「まぁ、あるだろうね?」
ソレもないとは言い切れない。
『いいよ、別に、揉み消すなんてめんどいことしなくて』
自分がするわけじゃなくてもめんどくさいんだ。
すごい、さすがあげはさん。
なんか尊敬する。
『どうせ今出てもあとから出ても、別に何か変わるわけじゃないでしょ』
「じゃあ、このまま出ても大丈夫?」
っていうか、コレが出ることによってさらに狙われると思うんだけど。
特に俺が。
『あ、その週刊誌ちょーだい』
「ちょーだいって!まさかの発言にビックリだよ!」
『え?そう?』
ビックリしすぎて、俺もつい声に出ちゃったよ。
目の前で叔父がハラを抱えて笑ってる。
なぜ笑われているのかわからないまま、ニ、三言葉を交わして電話を切った。
「雷の周りに今までいなかったタイプ、だな」
社長の顔じゃない、叔父の顔でそう言われ眉を寄せる。
自分でもそう思ってるのに、ヒトに言われるとなんかおもしろくない。
「お前が取り乱すとこなんて初めて見たな」
ククッと喉を鳴らして笑ってるけど、こっちはおもしろくなくて不貞腐れる。
あげはさんが他のヒトと違うのは、自分が一番わかってること。
だから、相手をするのに今までと同じようにはいかなくて。
いい意味であげはさんといると、自分を捜さなくちゃいけなくなる。
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