living.10

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「プライベートなことなのでとでも言っといて」 「まぁ、なんとでも言っておく」 揉み消すよりはラクだと思ったんだろう、叔父は楽しそうな笑み。 「しかし一緒に住んでるとなると、結婚しないとは言えないな」 「……わかってる、とりあえず母さんにはまだ内緒でよろしく」 婚姻届をすでに渡されてる時点で、この話をなかったことにはできないことくらいわかってるんだ。 だけど、お見合いだろうがなんだろうが、お互いに気持ちがないまま結婚したって、きっと壊れてしまう。 壊れてそんな終わり方をしてしまうくらいなら、初めからしない方がいいんだ。 ……この先、何がどう転ぶかなんてわからないけれど。 「コレ、もらってく」 「何冊でも持っていけ」 イヤ…一冊で事足りるよ… 週刊誌を持って立ち上がると、隣に立った叔父に肩をポンッと叩かれる。 ニヤッと笑うその表情で、何を言われるかがわかって。 「いろいろがんばれ?」 やっぱり…と。 なんか癪だから、なんのリアクションもせず何も返さず社長室を出た。 「話は終わった?」 ドアを閉めれば横の壁にもたれている、今ちょー売れっ子現役アイドルがそこにいて。 俺の腕に絡まってくるその子から、甘くてキツい香水の香り。
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