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「で?ソレは?」
「あぁ…俺とあのヒトの写真が載ってる」
「ついに揉み消すのをやめたか」
車へと向かうその足は重い。
なんかいろんな疲労が重なってる気がする。
「…この先、まだ一緒にいるヒト、だから」
「だからこそ、するかと思ったんだけど」
「あのヒトがまた撮られる可能性あるかもしれないから、今出てもいつ出ても変わらないって言ったんだよ」
イヤ、ホント、あげはさんって肝が据わってるというかなんというか。
まぁ、俺も別に出てもいいとは思ったし。
この先、俺が狙われることがわかっていても。
……あー、電話しなきゃよかった。
このまま家に帰りたい。
あの香水の香りが全身についている気がして、帰って洗い流したい気分。
ムリなことは重々承知してますけど。
あ、でも、この香り家に持ち込みたくないな。
車に乗り込んで深く腰を預けてため息。
「あげはさんとの生活はそんなに楽しいか」
「楽しくないことはない」
実際、俺は楽しんでる。
ウヤムヤに初めたこの生活、どうせなら楽しまなきゃ損じゃないか。
「……帰っちゃダメかな……」
「これから仕事」
つぶやいた声が聞こえたんだろう。
北馬さんはソコも楽しそうに返してくる。
ホント、今すぐ帰りたいのに…帰りが明後日とか、初めてこの仕事を恨みたくなった。
スキだけどね?この仕事。
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