living.10

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「で?ソレは?」 「あぁ…俺とあのヒトの写真が載ってる」 「ついに揉み消すのをやめたか」 車へと向かうその足は重い。 なんかいろんな疲労が重なってる気がする。 「…この先、まだ一緒にいるヒト、だから」 「だからこそ、するかと思ったんだけど」 「あのヒトがまた撮られる可能性あるかもしれないから、今出てもいつ出ても変わらないって言ったんだよ」 イヤ、ホント、あげはさんって肝が据わってるというかなんというか。 まぁ、俺も別に出てもいいとは思ったし。 この先、俺が狙われることがわかっていても。 ……あー、電話しなきゃよかった。 このまま家に帰りたい。 あの香水の香りが全身についている気がして、帰って洗い流したい気分。 ムリなことは重々承知してますけど。 あ、でも、この香り家に持ち込みたくないな。 車に乗り込んで深く腰を預けてため息。 「あげはさんとの生活はそんなに楽しいか」 「楽しくないことはない」 実際、俺は楽しんでる。 ウヤムヤに初めたこの生活、どうせなら楽しまなきゃ損じゃないか。 「……帰っちゃダメかな……」 「これから仕事」 つぶやいた声が聞こえたんだろう。 北馬さんはソコも楽しそうに返してくる。 ホント、今すぐ帰りたいのに…帰りが明後日とか、初めてこの仕事を恨みたくなった。 スキだけどね?この仕事。
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