living.11

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テレもせずサラッと言うから、ソレがホントなんだって聞こえない。 ソレは月海もそう聞こえたようで、いぶかしげに眉を寄せる。 演技のハズだからウソなんだろうけど。 基本的にはウソだと思っているけれども。 ウソかホントか、わからない時がある。 「結婚するんだもん、スキじゃなきゃね」 七夕は一人ソレを真に受けてニコニコと笑顔を絶やさない。 結婚なんかするつもりはない、って七夕には言ってなかった。 言うつもりいっさいないけど。 七夕に言ったところで、きっとあたしの言いたいことは何も伝わらない。 だから、七夕には恋愛系の相談なんてしたこともなく。 めんどくさいし? 「でもなぜか伝わらないんですよね?」 「気合!きっと気合が足りないんだよ!」 え、気合とかそういう問題なの? なぜか七夕に恋愛相談を始め、ウンウンとうなずいている。 「気合なんだって」 「全く違う気がするけど」 ソレを冷めた眼差しで見ながら月海に同意。 確かに最近、やたらスキだって言ってくることが多い気がする。 軽い感じがして疑いの目しか向けられないけれど。 だからなのかわからないけど、あたしの雷に対する気持ちに変化がないことが自分でもわかる。 少しの変化があるとすれば、ソレはきっと友情ってヤツ。 「それより月海はどうなの?」 なおもワイワイ言ってるのをムシして月海に質問。 「なんのお話?」 コーヒー飲んで平然を装うとしてるけど、目が泳いでるわよ? 隠すのヘタなんだから。 「まぁ、別に話したくなければ聞かないけど」 聞いといてなんだけどね。 何かあったらしいけど、月海もあんまりヒトに相談するってことをしないから、言ってくるまで待つことにしよう。
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