living.11

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…さては七夕ちゃん、何か言ったわね? この子、子供もいるのに料理下手だから、食べる専門みたいな感じだし。 作ってるの藍河さんだって聞いたことあるな。 「あのね、あげはちゃんの作る料理は天下一品なの」 「前にも言ったけど、ハードル上げるのやめてくれる?」 うっとりとした眼差しの七夕に呆れるしかない。 天下一品とか初めて聞いたわ。 「そうですね、あげはさんの手料理はどれもすごく美味しくて、なんだか僕太ったような気がします」 「そのまま太って仕事ができなくなればいい」 返す言葉が冷たいよ、月海さん。 まぁ、あたしもフォローなんてしないけど。 「レシピ通り作れば誰だってできるでしょ」 『アレが?』 「なんで月海と雷が同じこと言うの」 しかもニ人とも眉間にシワを寄せた表情。 「僕、あげはさんがレシピ見てるところ見たことないですよ?」 「あんたのは男料理って言うの」 「そこまで雑に作った記憶ないわ」 なんなのさニ人して。 「イヤ、たまに大丈夫かって思う時ありますよ?」 「二度と作らないぞ」 「あぁ!それだけは勘弁してください!」 ジト目でそう言えば嘆いてくる。 でも、なかなかに楽しそうで。 「まぁ、餌付けされちゃって」 「別に餌付けしてる覚えはない。ただ、洗い物以外で二度と雷にキッチンに立ってほしくないだけ」
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