living.2

4/12

1065人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
「今日から半年で、どちらが先にスキになるか、賭けましょう。僕は半年の間であなたをスキにならせてみせます」 「な、によ……ソレ……」 抗議、しようとしたんだろうけど、先に意識を手放したみたいだ。 俺の胸にもたれてくる彼女の顔を覗き込めば、青くなって生気のなくなった顔。 かなりツラそうで、正直ヤバいと思った。 気づいていたのに、こんなになるまで放置していた俺の胸を罪悪感が占める。 慌てて横抱きにして部屋に戻れば、母親ニ人は楽しそうに談笑中。 なんか、親しい感じが窺えるけど、今はそれどころじゃない。 行儀が悪いとか今はどうでもよく、足で障子を開けて中に入り彼女を畳の上に寝かせる。 「母さん、氷水もらって来て」 「あら、どうしたの?」 「まぁ、あげはったら」 「すみません、具合が悪いなど知らず……」 ウソだ、ホントは知っていた。 知っていたのにムリをさせたんだ。 「大丈夫よ、帯を緩めてほっとけばすぐによくなるわ」 「え?イエ、でも熱中症とかかもしれませんよ?」 「この病気知らずが?」 病気知らずって……このヒト、健康そのものってこと? じゃあ、なんで今この状態?
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1065人が本棚に入れています
本棚に追加