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「今日から半年で、どちらが先にスキになるか、賭けましょう。僕は半年の間であなたをスキにならせてみせます」
「な、によ……ソレ……」
抗議、しようとしたんだろうけど、先に意識を手放したみたいだ。
俺の胸にもたれてくる彼女の顔を覗き込めば、青くなって生気のなくなった顔。
かなりツラそうで、正直ヤバいと思った。
気づいていたのに、こんなになるまで放置していた俺の胸を罪悪感が占める。
慌てて横抱きにして部屋に戻れば、母親ニ人は楽しそうに談笑中。
なんか、親しい感じが窺えるけど、今はそれどころじゃない。
行儀が悪いとか今はどうでもよく、足で障子を開けて中に入り彼女を畳の上に寝かせる。
「母さん、氷水もらって来て」
「あら、どうしたの?」
「まぁ、あげはったら」
「すみません、具合が悪いなど知らず……」
ウソだ、ホントは知っていた。
知っていたのにムリをさせたんだ。
「大丈夫よ、帯を緩めてほっとけばすぐによくなるわ」
「え?イエ、でも熱中症とかかもしれませんよ?」
「この病気知らずが?」
病気知らずって……このヒト、健康そのものってこと?
じゃあ、なんで今この状態?
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