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俺の目の前にいるこの天然悪魔を、ホンキで誰かどうにかしてほしい。
本人にその気はなくても、こっちの身が持たないっていうか…
無自覚にもホドがある。
「──っあぁ!」
「あげはさん……」
小さく名前を呼べば潤んだ目で見上げてくる仕草。
こういうことを度々、無意識にやってくる。
俺、何か試されてるのか?
毎回、葛藤するのはこっちなのに。
「なんで、何もないところでつまずけるかな…」
鼻を打ったんだろう、目に涙を浮かべ擦りながらその場に座り込む。
年末…というか今日はクリスマスイブ。
今年最後の休みを利用させられて、ニ人で大掃除なるものをしているところ。
まだたった四ヶ月ほどしか住んでいなくても、生活をしていれば汚れてくるもので。
という理由で朝から叩き起こされ、頭にタオル巻いて掃除中。
イブだし、めったにない休みだし?
せっかくニ人でゆっくりと過ごそうかと思っていたのに。
「…あって…」
『だって』と言いたかったらしいあげはさんは、意外にも掃除は不器用だった。
風呂掃除とか部屋の模様替えとかしてるのに、掃除というソレは苦手らしい。
「今までよく大きなケガとかなかったね?」
嫌味っぽく言えば、涙目のまま睨んでくる。
……やっぱり俺、試されてるんだ!
ある意味破壊力のあるソレから逃げるように視線を逸らし、手を引っ張り立たせると小さくお礼の言葉が聞こえる。
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