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ソレがなんだかカワイくて、ついそのままギュッと抱きしめていた。
「ちょっ、雷?」
「あげはさん、カワイイ」
「はぁ?」
突然の俺のこんな行動にも、多少の動揺すら見せない。
このヒト、どうすればオチるの?
「まだ寝ぼけてんの?」
「イヤ、もう起きて四時間だよ」
最近、起こされる度によく抱きついているらしい。
全く記憶がないけれど。
無意識の行動って怖い。
「離れて、ケータイ鳴ってるから」
「…掃除に戻りまーす」
不貞腐れたように言う俺に呆れた顔を向けてくる。
そして、小さくため息。
気のせいじゃなければ、あげはさんのため息の回数が増えてる気がする。
今みたいに呆れて、とかじゃなくて。
何かあれば言ってくれればいいのに。
なんて思うけど、ソレが言えないのは俺が他人だから。
一緒に住んでるとは言え、彼氏でもない赤の他人。
しかも、あげはさんの中じゃきっと俺は友達でもない。
俺達の関係ってなんなんだろう?
「──えぇ!?」
窓を拭いていると、電話をしているあげはさんの驚いた声。
「え、ちょっ、ホントに?」
気になって近づけば、ポカンとした表情。
誰からの電話でそんな驚くような内容なのだろうか?
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