living.12

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ソレがなんだかカワイくて、ついそのままギュッと抱きしめていた。 「ちょっ、雷?」 「あげはさん、カワイイ」 「はぁ?」 突然の俺のこんな行動にも、多少の動揺すら見せない。 このヒト、どうすればオチるの? 「まだ寝ぼけてんの?」 「イヤ、もう起きて四時間だよ」 最近、起こされる度によく抱きついているらしい。 全く記憶がないけれど。 無意識の行動って怖い。 「離れて、ケータイ鳴ってるから」 「…掃除に戻りまーす」 不貞腐れたように言う俺に呆れた顔を向けてくる。 そして、小さくため息。 気のせいじゃなければ、あげはさんのため息の回数が増えてる気がする。 今みたいに呆れて、とかじゃなくて。 何かあれば言ってくれればいいのに。 なんて思うけど、ソレが言えないのは俺が他人だから。 一緒に住んでるとは言え、彼氏でもない赤の他人。 しかも、あげはさんの中じゃきっと俺は友達でもない。 俺達の関係ってなんなんだろう? 「──えぇ!?」 窓を拭いていると、電話をしているあげはさんの驚いた声。 「え、ちょっ、ホントに?」 気になって近づけば、ポカンとした表情。 誰からの電話でそんな驚くような内容なのだろうか?
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