living.12

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「え?何?家族以外でも行ってもいいの?」 相手の声なんてもちろん聞こえないから、あげはさんの前で座って首を傾げれば、気づいてこっちを見て苦笑い。 「雷もいいの?」 は?俺も? 「ヤ、いるけど…わかった、今掃除中だから夕方にはそっちに行けると思うよ」 えーと?なんか、俺の話も出てたみたいだけど、承諾ナシで話がまとまった感じ? 通話を終えため息をつくあげはさんをジーッと見てると、どこか苦しそうな表情。 「産まれたんだって、七夕の赤ちゃん」 ソレは苦笑いを浮かべて言うことではないと思うけど。 「え?だって予定日ニ月の初め頃って…」 「早産だったみたい、けどニ人とも元気だそうよ」 とか言われても、俺の周りで出産したヒトいないからわからない。 「って、俺も行っていいの?」 わからないけど、家族以外は行っちゃダメって言うのは知ってる。 「あー、うん、病室に入らなければいいって」 ずっと苦笑いを浮かべたままのあげはさんは… なんて言うんだろう、どこか寂しそうで。 腕を掴んでその小さな体を引き寄せ抱きしめた。 「雷?」 「……なんか、寂しそうな顔してた」 「また親がうるさくなるな、とは思ったけど」 浅いため息、イヤ、ホントのことなんだろうけど。 自分がそんな顔してるって、気づいてないのか。 「…ソレだけ?」 「え?他に何が?」 至近距離、キョトンとした顔を向けてくる。 ソレはホントにソレ以外は考えていなかったみたいで。
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