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少し睨んでくると、無言のまま立ち上がり部屋に入って数分で出てくる。
コートにマフラーに手袋、防寒バッチリですね。
夏も冬もキライって言うだけはあるな。
なんか、モコモコしてるよ?
「あげはさん?」
声をかけてみるけど、チラッとこっちを見るだけ。
さっき睨まれた時と同じ目。
どんだけ機嫌悪くなってんだか。
呆れて小さくため息をついていると、何も言わずに玄関を出ようとしてるから慌ててついて行く。
話しかけてもムシだから、ただついて行くだけ。
二十分くらい歩いたところにある産婦人科、ではなく総合病院。
ホント、月海さんの見つけてくれたこのマンション、徒歩圏内になんでもあるよね。
あげはさんのソレを見越しての、ココ、なんだろうけど。
「月海さん」
入口にいた月海さんすらムシしてスタスタと歩いてるけど、病室知ってんのかな?
「…あんた、あげはに何言ったの」
「掃除が二度手間になるから何もしないでって言っちゃいました」
「あぁ……」
納得するってことはヘタなこと知ってるんだ。
「まぁ、ほっとけば機嫌も直るでしょ」
浅くため息ついて、こっちよと言うのでついて行くけど。
ホントに赤の他人の俺が行ってもいいものやら。
ココまで来て今さらに思うけど。
「電話のあとからずっとですよ?今日は直らないような気がします」
「七夕の子供見ればそんなものすっ飛ぶわよ」
えー?そんなもんかな?
首を傾げていると、気づいた月海さんがこっちを見て高揚した感じで笑顔を見せてきて。
ホントに七夕さんがスキなんだって、あげはさんから話を聞いてなくてもわかる。
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