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「七夕」
「あげはちゃん、雷くんも来てくれたんだ」
すぐに着いたソコには七夕さんが立っていて。
ガラス張りの向こうに何人かの赤ちゃんが見える。
ナマで新生児室を見たのは初めてだ。
てか、全部が全部、初めてなんだけど。
「おめでとう、七夕」
「おめでとうございます」
「ありがとー」
「急だったし掃除してたから何も用意できなかったよ。今度お祝い持って来るね」
あ、やっぱりそういうのっているんだよね?
あげはさん何も言わないから完全に手ぶらで来た。
どこか店に入る時間くらいはあったと思うのに。
機嫌悪かったしね。
今度あげはさんに頼もう。
「それで?赤ちゃんは?」
「そこの保育器に入ってる子だよ」
「女の子ですね~、カワイイです~」
初めて見る産まれたての赤ちゃんに、自分の子でもないのに感動した。
それこそ産まれたてなんて、簡単に見れるものじゃないし。
生命の神秘ってヤツ?
これがもし自分の子供とかだったら、きっと泣いてしまうかもしれない。
それほどまでに、なんかこう、グッとキタ。
「よかったね、欲しがってたもんね、女の子」
「うん、ありがとー」
「あげはさん、僕も赤ちゃん欲しくなってきました」
ヤバい、感激のあまりぜったい言わないだろうことを口走ってる。
「はぁ?あたし?」
「もちろんです」
っていうか、他に誰がいるというのだろうか。
めっちゃ驚いているけれど。
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