living.2

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「着付けしてもらった時、帯をキツくしめられたのよ。しかめっ面してたし、着付けしてくれたヒトもあげはの機嫌の悪さが怖くて、キツいとか聞けなかったんでしょうね」 ニコニコと笑う北原母は、苦しそうに寝る彼女の頭をペシっと叩く。 俺のせいじゃ…まぁ、半分は俺のせいだけど。 とりあえず、ホッとした……のか? 母さんが帯に手をやるのを見て、なんとなく目を逸らす。 っていうか、氷水、頼んでくれてない… 「……氷水、もらって来ます」 「あら、いらないわよ?」 イヤ、いらないと言われても… ホントにただの帯の締めすぎというだけで倒れるのか。 「ですが…」 「帯緩めれば大丈夫」 えー?ホントにそれだけで? わからなくて首を傾げると、キレイな笑顔でクスクスと笑われる。 きっと、彼女も笑えばこんな感じなんだろうな。 ぎこちない笑顔は見たけれど。 ホントの笑顔を見たいと、少し思った。 まだ出会って一時間も経ってないのに。 こんなことを思うなんて初めてかもしれない。
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