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変装でもしててくれればバレなかったのに…
……イヤ、していてもわかるヒトにはわかる、か……
「アレ?でも前は出る前に話があったよね?」
「…あぁ…社長から呼び出しはあったんだけど、撮影長引いて行けなかったんデス…」
「ふ~ん、そう」
出ちゃってる以上、とやかく言ってもどうしようもできない。
慌てたところで疲れるだけ。
「反応、薄くない?」
「どんなリアクションを期待していらっしゃったの?」
「もっと、こう…慌てる、とか…」
「すでに出てしまったものに慌ててなんの意味が?」
出る前に慌てるっていうならわかるけども。
今さらって感じだし。
それに自分でも思う、出る前でも慌てないだろうなって。
「ま、ぁ…意味はないけど…」
「それより、雷が今帰って来てることも写真に撮られてんじゃないの?」
ぜったいさ、マンション前の茂みとかにカメラマンとか隠れてそう。
「大丈夫、正面はいたけど地下にはいなかったから」
何を根拠に大丈夫と言えるのだろうか。
本人がそう言うんだからそうなんだろうけど。
「ソレで?」
「え?」
「まさか、コレだけのために帰って来たの?」
それだけ雷にとっては一大事だったのかもしんない。
だけど、電話で済む話だと思うんだけど。
前の時だって電話で済んだんだし。
「まだ撮影の途中なんじゃないの?」
「今日は終わった」
未だ正座を崩さない雷は、まだ何か謝ることでもあるんだろうか?
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