living.13

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「……怒ってない?」 「怒られたいの?」 っていうか、何に対して怒ればいいのか、まずソレを教えてほしい。 「怒られる覚悟で帰って来たのに…」 「どんな覚悟だ」 正座でいたのはどうやらあたしに怒られると思っていたようで、ソレがないとわかるとやっと姿勢を崩す。 安心したのか表情も緩んで。 「…どうせ、ここにいるのもあと少しなんだし」 「ん?何か言った?」 ボソッとつぶやくように言えば、伸びをしていた雷には聞こえなかったようで。 聞かれたかったわけじゃないから、別にいい。 「帰って来るなら言ってほしかったって言ったの」 「早く帰らなきゃっていう頭でいっぱいだったもので」 苦笑いを浮かべて後頭部をポリポリと掻く。 でも、帰って来る間に連絡しなきゃって、一回くらい思わないかな。 どんなに急いだって、車をぶっ飛ばすなんてできないわけだし。 「だからって、衣装のまま?」 「──げっ、着替えるの忘れてた」 イヤ、そこ忘れない普通。 「気になってたんだけど、それ花婿の衣装?」 「そうだよ、式当日に花嫁に逃げられる役」 「そう…なんだ…ってか、言っていいの?」 言っちゃダメなんじゃないかな… どこから内容が漏れるかわからないのに。 まぁ、興味はないから言うこともないけど。 「あぁ、あげはさんテレビ見ないから。その設定はCMで流れてるから大丈夫」 ニヤッと笑ったと思ったら、その顔のまま隣に座ってくる。 雷の右手が髪に触れて、左手でマンガを奪われて。
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