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「……ウソよ、こんなあたしをスキになるヒトなんていない」
「いるよ、ここに」
「ウソ！あたしをオトすためでしょ！」
何も、考えないようにしていた。
少しでも考えてしまうと、心の中がグチャグチャになって…
こうやってわからない感情が渦巻いて叫んでしまうから。
叫ぶとは思ってなかったんだろう、驚いた表情に一瞬なってでもすぐに優しい笑顔。
「ねぇ、あげはさん」
座り直して、あたしの両手をギュッと握る。
「初めは、そうだったよ。でもさ？そんな風に思って接しててもヒトの心は変わらないよね？」
「そう、ね…」
実際あたしはそう思ってたから、雷の言ってくれる言葉のほとんどをホンキには取れなくて。
ずっと、ウソなんだと思ってた。
「この生活初めてすぐにそう思ったから、今まであげはさんに対して言ってきたことはウソじゃないよ」
そんな前からだったなんて、疑って何も信じてこなかった自分が恥ずかしい。
じゃあ…ホントに…？
真っ直ぐに雷の目を見るけど、どれがホントなのかやっぱりわからない。
優しく笑いかけてくれるその目の奥の真実は、全てを隠してる気がする。
「……演技じゃないの？」
雷の言ってくれる言葉を全て否定する言葉。
今言ってることも、今までのことも…怒ってもいいことばかりなのに、なのに雷は優しく笑ってるだけ。
どうして？
あたしはあなたを否定してるのに……
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