1067人が本棚に入れています
本棚に追加
「あげはさんにそう思われても仕方ないと思う。ホンキで言って否定されるのは怖かったから、いつも軽くしか言えなかった」
そんなことを考えていたなんて。
申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「だけど、そんな風に言ってきたけど、今までのちゃんと全部ホンキだから」
この数分で何度も見た真剣な目。
目を合わせてしまうと逸らせない。
……ホンキ、なんだ……
「ごめん……」
想いが伝わってくるけど、謝ることしかできない。
ホントは謝ったってダメなことはわかってる。
ずっと、雷を否定してきたから。
「あげはさんは謝らなくていいんだよ。ごまかしてちゃんと伝えなかった俺が悪いんだから」
なんで?
雷は何も悪いことなんて言ってない。
そういう風に言わせてしまっていたあたしが、一番悪いんだ…
雷のせいじゃない、全部あたしのせい…
小さく首を横に振れば、なぜか涙が流れて。
このヒトの前で泣く資格なんてない、間違ってるのに……
「…俺が焦ったから、あげはさんに負担かけさせちゃったね」
苦笑いを浮かべて、優しく涙を拭ってくれる。
「この生活が終わって、あげはさんとサヨナラするなんて考えられなかった。自分で言い出したことなのに」
「…そんな口約束、守らなくても…」
「まぁ、けじめ?みたいな?」
あたしは…ただ漠然と、もうすぐこの生活も終わるな…としか思ってなかった。
約束の日は明後日なのに、どこか他人事のように考えていて。
スキとかキライとか、考えようとすらしていなかった。
でもソレが、追い詰めていた、雷を。
最初のコメントを投稿しよう!