living.13

8/9
前へ
/165ページ
次へ
「あげはさんにそう思われても仕方ないと思う。ホンキで言って否定されるのは怖かったから、いつも軽くしか言えなかった」 そんなことを考えていたなんて。 申し訳ない気持ちでいっぱいになる。 「だけど、そんな風に言ってきたけど、今までのちゃんと全部ホンキだから」 この数分で何度も見た真剣な目。 目を合わせてしまうと逸らせない。 ……ホンキ、なんだ…… 「ごめん……」 想いが伝わってくるけど、謝ることしかできない。 ホントは謝ったってダメなことはわかってる。 ずっと、雷を否定してきたから。 「あげはさんは謝らなくていいんだよ。ごまかしてちゃんと伝えなかった俺が悪いんだから」 なんで? 雷は何も悪いことなんて言ってない。 そういう風に言わせてしまっていたあたしが、一番悪いんだ… 雷のせいじゃない、全部あたしのせい… 小さく首を横に振れば、なぜか涙が流れて。 このヒトの前で泣く資格なんてない、間違ってるのに…… 「…俺が焦ったから、あげはさんに負担かけさせちゃったね」 苦笑いを浮かべて、優しく涙を拭ってくれる。 「この生活が終わって、あげはさんとサヨナラするなんて考えられなかった。自分で言い出したことなのに」 「…そんな口約束、守らなくても…」 「まぁ、けじめ?みたいな?」 あたしは…ただ漠然と、もうすぐこの生活も終わるな…としか思ってなかった。 約束の日は明後日なのに、どこか他人事のように考えていて。 スキとかキライとか、考えようとすらしていなかった。 でもソレが、追い詰めていた、雷を。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1067人が本棚に入れています
本棚に追加