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「…あたしはさ、知っての通りこんなめんどくさがりな性格なわけよ」
「うん、知ってる」
話し始めるけど、電気を未だに点けようとはせず。
なぜ点けないのか謎のまま、ポンポンとソファーを叩くからそこに座るけど。
なんだろ、このよくわからない雰囲気。
「自分で自分のことわかってるから、基本的に誰かと一緒にいたくないわけ」
真っ直ぐ見てくる目は揺れている。
答えをどう切り出すか悩んでるようにも思えて。
こんなあげはさんは初めて見た。
「月海と七夕は昔から知ってるから気にもしてない」
今は何を言っていいのかわからないから、黙ってあげはさんの話を聞く。
それに、何か返事を待ってる感じでもないから。
「雷がね、ニ人みたいに接してくれるのはありがたかった。あたしの趣味に対しても何も言わないし」
「そういえば、初対面で失礼なこと言ったね、俺」
今じゃ、ヒマな時は俺も読んでるからなぁ。
あげはさんセレクトのマンガおもしろいし。
「アレは普通の反応だと思うよ」
苦笑いを浮かべてるけど、どこか寂しそうで抱きしめたくなる。
きっと、この趣味を今までいろいろ言われてきたことがあるんだろう。
「……抱きしめていい?」
「却下」
行動に移す前に聞いたのに断られるから、聞かずに抱きしめればよかった。
今日で最後、だと思うから。
「そんなことより…あたしはこの半年、雷のことを全然見てこなかった」
もうクセになっているあげはさんの髪に触れること。
だけど、ゆっくりとその手を下ろされる。
…もっと触れていたかったのに、その柔らかい髪に。
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