living.14

6/12
前へ
/165ページ
次へ
「実家よりも自分のスキにできるしさせてくれるから、ラク…だったんだよね」 半年、という約束だったし、あげはさんにとやかく言えるような生活、俺も送ってなかったし。 自由にしてくれていて、俺も助かってた。 「でもね、甘えてただけなんだよ」 「イヤ、ソレは俺の方だから」 あげはさんが甘えてたって言うなら、俺はソレ以上。 よく怒ってるし文句なんてめちゃくちゃ言ってるけど、こっちのことを思ってのことだってわかってる。 ソレに、あげはさんに甘えられた記憶は、ない。 俺に甘えてきてないと思う。 「……ねぇ?あたしのことスキだって言ってたけど、それは顔が…じゃないの?」 「そんなことないよ、俺がスキなあげはさんはちゃんと自分を持ってるところ」 今まで、どれだけのヒトに告白されたかなんて聞かないけれど。 きっとまず初めに容姿のことを言われてきたんだろう。 黙っていれば美人だし、お近づきになりたいヤツなんて、いっぱいいたに違いない。 「あげはさんのふとした時の仕草とか、マンガなしじゃ生きていけないとことか、全部ひっくるめてスキだよ」 面と向かって言うのは恥ずかしいけれど、でも今言わないと二度と言えない気がする。 先延ばしにしてたら、会えなくなるような…そんな気がして。 相手、あげはさんだし。 接点がなくなれば、会うことも拒否られそう。 電気点いてなくてよかった。 ぜったい顔が赤くなってる。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1067人が本棚に入れています
本棚に追加