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「めんどくさいんだよね、また引っ越すの」
「そうだね?結構マンガも持って来てるしね?」
買って増えたモノもあれば、ちょこちょこと実家から持って来ているモノもある。
「……雷のことをスキだとは言えない。でも、雷との生活はスキ……」
「あげはさんさえ良ければ、この生活を続けることもできるよ」
たとえ、この先あげはさんが俺に振り向くことがなくても、今一緒にいられるなら…それでいい。
ヒトの心…特にあげはさんの心なんて、どうなるかわからないものだし。
「……やっぱり、雷は優しいね。あたしに都合のいいようなこと言うんだから」
優しいとか言われたことないんだけど、あげはさんがそう言うならそうなのかな?
イヤ、でもキラわれたくないから優しくするんだと思う。
「そうでもないよ?これからホンキでクドくから」
諦めるなんて一言も言ってないし。
怖くて何もできなかったけど。
気まずくなって何ヵ月も一緒にいることは難しくて、告白なんかできなかった。
なら、何も言わずに一緒に過ごす方がいいと思って。
なんかビックリしたのか目を丸くしてるけど。
「あげはさんが実家に帰ったとしても、諦めるつもりなんてないから覚悟しててよね」
たとえ、会うことを拒否されたとしても、ね?
だってさ?
今までもこれからもあげはさんに何もできないとしても、こんなにヒトをスキになったことなんてないから諦めきれない。
「…え、あれ?あたし自分で自分の首絞めた感じ?」
「ねぇ、気づいてる?コレを渡されてるってことは結婚以外に道はないってこと」
ポケットに入れてあった婚姻届を出して言えば驚愕の表情。
イヤ、渡された時に気づいてると思ったんだけど…
やっぱり気づいてなかったんだ。
俺がずっと持っていたことも忘れていたに違いない。
「ちょっ、なんで書いてるの!」
暗いのによく見えるね。
「だって、いつかは出すモノだし?いつ書いても変わらないから」
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