living.14

8/12
前へ
/165ページ
次へ
「めんどくさいんだよね、また引っ越すの」 「そうだね?結構マンガも持って来てるしね?」 買って増えたモノもあれば、ちょこちょこと実家から持って来ているモノもある。 「……雷のことをスキだとは言えない。でも、雷との生活はスキ……」 「あげはさんさえ良ければ、この生活を続けることもできるよ」 たとえ、この先あげはさんが俺に振り向くことがなくても、今一緒にいられるなら…それでいい。 ヒトの心…特にあげはさんの心なんて、どうなるかわからないものだし。 「……やっぱり、雷は優しいね。あたしに都合のいいようなこと言うんだから」 優しいとか言われたことないんだけど、あげはさんがそう言うならそうなのかな? イヤ、でもキラわれたくないから優しくするんだと思う。 「そうでもないよ?これからホンキでクドくから」 諦めるなんて一言も言ってないし。 怖くて何もできなかったけど。 気まずくなって何ヵ月も一緒にいることは難しくて、告白なんかできなかった。 なら、何も言わずに一緒に過ごす方がいいと思って。 なんかビックリしたのか目を丸くしてるけど。 「あげはさんが実家に帰ったとしても、諦めるつもりなんてないから覚悟しててよね」 たとえ、会うことを拒否されたとしても、ね? だってさ? 今までもこれからもあげはさんに何もできないとしても、こんなにヒトをスキになったことなんてないから諦めきれない。 「…え、あれ?あたし自分で自分の首絞めた感じ?」 「ねぇ、気づいてる?コレを渡されてるってことは結婚以外に道はないってこと」 ポケットに入れてあった婚姻届を出して言えば驚愕の表情。 イヤ、渡された時に気づいてると思ったんだけど… やっぱり気づいてなかったんだ。 俺がずっと持っていたことも忘れていたに違いない。 「ちょっ、なんで書いてるの!」 暗いのによく見えるね。 「だって、いつかは出すモノだし?いつ書いても変わらないから」
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1067人が本棚に入れています
本棚に追加