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帰って来なかったこの一週間の間にコレを眺めることが何度もあった。
暇さえあれば眺めていて。
まぁ、コレにあげはさんの名前はまだないけど。
書いたのはただの興味からだった。
書き終わってソレを見て虚しくなったことは言わない。
出せるかどうかもわからないから。
「あとはあげはさんの名前書くだけだよ?」
「書くわけないでしょ!」
首を傾げて言えば、目の前でおもいっきり叫ばれる。
若干…イヤ、結構耳が痛かった。
「俺はいつでもウェルカム、なんだけど」
「開き直ったようにしか見えない」
そうでもしないと一緒にいられないって。
昨日今日スキになったわけじゃないんだし。
諦められないくらいに、あげはさんのことスキなんだから。
どれだけ言っても、伝わらないんだろうけど。
「あ、でも、キスしたらあげはさんスキになるかな?」
「っはぁ?何い──」
ニヤっと笑って、抗議の声を上げようとする口を塞いだ。
キスすることによって。
触れるだけですぐに離れれば、若干放心気味?
ホントにすると思ってなかったんだろう、今まで至近距離で止めてたから。
「これからはエンリョなんかしない、だからイヤなら近くにいない方がいいよ」
ニコニコとあげはさんに対して、最後の警告のようなもの。
…離れるなら、今しかないよ?
そう言おうと思った言葉は、出てこなかった。
まだ臆病な自分がいるみたいで。
「……どうせ逃げられないってんなら……」
あれ?なんか静かに闘志燃やしてる?
何に火を点けたんだろう。
点けるところなんてなかったはずなんだけど。
「スキになるつもりもなかったけどスキになってやろうじゃないさ」
俺の警告は完全ムシされた。
あげはさんらしいと言えばらしい。
「宣戦布告、みたいに聞こえるんですけど」
「そうだもん」
イヤ…宣戦布告されても…
まず、そんなことしないもんでしょ。
ぜったいわかってないんだ。
「だから、わかってる?」
ホラ、キョトンとしてるし。
こんな表情見てると、俺より三つも上なんて思えないけど。
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