living.14

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「電気も点いてなくてこの距離にいてさ、襲われても文句なんか言えないんだよ?」 「──や、ちょっ」 ソファーに押し倒せば、初めて見せる抵抗。 この半年、どんなことをしても余裕を見せていたのに。 俺が何もできないとでも思っていたみたいだけど。 それにしても、反応が新鮮すぎて少し戸惑いを覚える。 でもそんな一瞬の隙を見逃さないのがあげはさんであって。 スルッと逃げ出したあげはさんは、急いで電気を点ける。 「卑怯よ!力では敵わないことわかってて!」 「そんな力任せにしたみたいに言わなくても」 実際軽く押し倒しただけで、あげはさんが簡単に逃げ出せるほどだし。 「この家にいるなら逃げられないよ?スキになってもらうまで全力でいくから」 「そんなことでスキになるなら、とっくにスキになってると思うけど」 「確かにそうか」 さっきちょっとだけ警戒心を見せてたのに、もうソレをなくしてる。 宣戦布告されたけど、スキになってもらうには強引にいかなきゃいけない気がするんだ。 「スキになるまでってことは、もし仮にスキになったとしたらその途端捨てられそう」 「イヤ、その先もずっとだけど」 捨てられそうって言うけど、逆だと俺は思うんだよね。 そんなことにはならないようにがんばるつもり。 「あげはさん、おいで」 「なんで」 普段言わないことを言えば警戒した表情。 今になって、さらにいろんな表情を見れるのは嬉しい。 やっぱり今までは、どこか線引きされてたから。 でも警戒していても、そこから逃げはしなくて。 「前に場数踏んでるって言ってなかった?」 「ウソに決まってるでしょ。三人…くらいしかつきあったことない」 指折り数えるその姿に、やっぱりなと思う。 なんとなく、ウソなんだろうなとは思ってた。 けどそこら辺は巧みに交わしてたから、ホントかどうかまではわからなくて。
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