living.14

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「よし、あげはさん、結婚しよ」 「はぁ?ヒトの話聞いてる?」 軽い感じでプロポーズすれば、おもいっきり眉を寄せて。 冗談だと思われてる感じ。 まぁ、軽く言ったしなぁ。 「聞いてるよ?あげはさんが他の誰かのモノになる前に俺のモノにしてたいだけ」 でも、言ってることは全部ホンキ。 今はもう、あげはさんナシじゃ生きていけない気がする。 俺の前からいなくなるとか、全く想像もつかなくて。 どれだけスキかなんて、このヒトに言ったってきっと伝わらない。 伝わらないからと言って、でも言わないわけじゃないんだ。 逃げた分、近づいて。 頬に触れればビクッと肩を震わせて固まるから、小さく微笑んで。 もう一度キスをしようと近づけば、キッと睨まれる。 「……わかったわよ、書いてやろうじゃないさ」 そんな戦闘態勢みたいな感じで言わなくても。 なんだろな、この売り言葉に買い言葉的な感じ。 イヤ、おもしろいけども。 「その変わり、この先半年以内にあたしが雷をスキにならなかったら離婚だから」 なんか、挑まれてる感、ハンパない。 「受けて立つよ」 半年以内にスキにならせてみせる。 今度こそ。 これまでの半年は自分が臆病でできなかっただけで、これからは思うように動いてやる。 動かなければ、このヒトはすぐ逃げるだろうし。 だって、少し行動に移しただけで、今まで見たことのないあげはさんが見れたから。 「自分で言うのもなんだけど、そんなにすぐにあたしが雷をスキになるとか思わないでよね」 「スキになるって自分で言ったくせに」 腕を掴み軽く引っ張って腕の中にスッポリと収めて。 警戒していたハズなのに、もうすでに抵抗も何もない。
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