last living

3/10
前へ
/165ページ
次へ
「薄いよ!あげはさん反応が薄いよ!」 イヤ、いつも通りの反応でしょ。 昨日の今日で態度が変わるわけないし。 結婚したからって、急に、ねぇ? 「で、今日は仕事じゃないの?」 反応薄いと言われても、ソレを変えるつもりはない。 そんなのあたしじゃないもの。 「うん、今から行ってくる」 あんなことを言ってくるのに、やっぱり雷も気にしてないしね。 「いってらしゃい」 ヒラヒラと手を振ってその場でお見送り。 あたしだってまだ休憩時間じゃないんだしね。 周さん、何も言わないけどさ。 「ヤ、あの…寂しがるとか、ない?」 「ない」 スキになるって宣言はしたけど。 けど実際、ヒトをスキになるって難しいことよね? このヒトをスキにならなきゃって思うと、なんだか心がストップするような感じ。 まずこの考えから変えなきゃいけないことはわかってるんだけど。 すぐには、ねぇ? 「俺は寂しいよ?」 「ソーデスカ」 近い。 真ん前に立つ雷はニヤッと笑う。 あ、ヤバい、キスされる… 思った時には軽く唇に触れていて。 してやったりな笑みが至近距離。 ムカツクから無表情でジッと見るだけにして。 「なるべく早く帰るから」 「お仕事、がんばって?」 ニッコリ微笑んで少し首を傾げて言ってやる。 雷はどうやらコレに弱いらしくて、今日もまた顔を押さえて悶えてる感じ。 コレ、最近わかったことなんだけど。 前までは隠してたけど、もう隠す気もないらしい。 「…わざとやってる?」 「さぁ?」 「そうやって言うってことはわざとだってことだよね」 小さくため息をつく雷は呆れている。 そして、時計を見てもう一回ため息。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1067人が本棚に入れています
本棚に追加