last living

5/10
前へ
/165ページ
次へ
お客様の来店で、苦笑いを浮かべたままこの話は終了。 だって、ファンじゃなくても名前を聞いただけでわかってしまう。 あたしの結婚は、簡単なようで簡単じゃない。 雷がこのことを発表するのかどうかも聞いてないし。 秘密、っていうほど秘密ではないけど、それでも軽く話せるモノなんかじゃなくて。 ソレに、あたしは雷のことをスキで結婚したわけじゃないんだ。 なんだろう…賭けには勝ったけど、負けてる気がする。 知らず知らずのうちに出るため息。 気づいて、小さく苦笑いを浮かべる。 「あげはちゃん、こっちお願い」 「はーい」 ……結婚したの、間違いだったかなぁ。 後悔してないと言えばウソになるけど。 ウマく乗せられた感じもするし、ただの勢い任せだった気もする。 売り言葉に買い言葉? んー、でも、それでも同意して書いたのは自分。 なのに、結婚っていう言葉に縛られてる気がしてならない。 今までこんなこと考えもしなかったのに。 何もしていなくても、何かしていてもずっと頭はそのことを考えていて。 考えることはイイコトなのかもしれないけど。 でも…なんか、しんどいなぁ… 考えたくないのに、だんだん何を考えているかもわからなくなって。 グダグダといろんなことを考えてるうちにもう夜になっていた。 あらまぁ、いつの間に… 「お疲れ様です」 あんまり、帰りたくないような… 雷にあんなことを言われたからじゃないけれど。 アレは別にどうでもいいし。 「あげはちゃん、これ結婚祝いだから受け取って」 「え、いいですよ、そんな…」 両手を横に振って拒否をすれば、なぜか目がキラッと光ったような気がして。 「受け取らなきゃ言い触らすわよ」 どんな脅しだよ…ソレ… 「あ、りがとう…ございます…」
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1067人が本棚に入れています
本棚に追加