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「あげはさんはどうやったら俺をスキになってくれるかな」
「こんなことされてもスキになんかならないから」
間違ってる気がするんだよ、雷の方向性ってヤツ?
正解なんて知らないけど。
「こんな近くにいてドキドキもしない?」
「落とされないかヒヤヒヤはしてる」
今はドキドキしてるけど、ソレが何に対してかなんて判断しかねない。
「落としはしないよ?今から押し倒すけど」
何その事前報告。
拒絶されるのわかってて言ってるんだよね?
あー、ホント、初めからだけど雷がわからない。
「大人しく押し倒されるわけないでしょ」
言われ慣れてない言葉に身構えるけど、雷は何が楽しいのかニコニコと笑ってる。
「そうだよね~、あげはさんはそうでなくちゃ」
「ちょっと、今なんかバカにされたのかしら?」
なんとなく挑発なんだってわかるけど、この挑発を回避する術を知らなくて。
こんなことになるなら、もっとちゃんと恋愛しとけばよかったのかな。
イヤ、でも、ちゃんとした恋愛って何?
一瞬だったと思うけど、自問自答している間になぜか布団の上に下ろされていて。
「あげはさん?そこで睨むのは逆効果って覚えようね」
「睨んでない、慣れてるなって思っただけ」
「──あぁ……うん、いや……」
女慣れしてることとか、咎める気は全くない。
だって、実際そうだったとしても、過去のことをとやかく言ったってね?
でもこういうことを言えば緩むから。
「…雷の、バカ…」
「……なんで結婚して早々に試されてる?」
隙を見て逃げ出しそう言えば、苦難の表情を浮かべる顔を手で押さえてる。
ソレすらもなんだか楽しそうに見えるけど。
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