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床に寝転がらされている北原あげは。
…を、見ているとだんだんハラが立ってきたんだけど。
蹴り起こしていいだろうか?
……イヤ、そんなことしちゃダメだって。
とりあえず、一人でこの状況には耐えられないから、揺すって起こすことにしよう。
「あの、起きて下さい」
「………んぁ?」
意外と起きるの早っ。
もっとなんか、渋ってでも起きそうにない感じなのに。
「わかりますか?」
「ん~……誰だっけ?」
「見合い相手の顔くらい覚えてて下さい」
「…あ~、お見合いする意味がわからない美形」
何ソレ、どういう覚え方?
しかも、そういうあなたは美人の部類ですからね?
本人に自覚は全くなさそうだけど。
起き上がった彼女は周りを見回しキョトンと首を傾げる。
ホラ、その仕草、ぜったい天然なんだ。
男の前でそんなことしちゃダメだってわかってない。
「新居、だそうですよ」
「誰の?」
「あなたと僕の」
ため息混じりに答えれば、キレてますみたいな笑顔。
アレだ、状況把握をするのは早いみたいだ、寝起きなのに。
ソレは置いといて、怖いから、その笑顔。
「ぜったいお母さんでしょ、言い出したの」
「どうでしょう?部屋に戻った時にはもうすでに話は決まってましたから」
「きっとそうよ、そうに違いない。じゃ、あたし帰る」
立ち上がり何かを探す仕草。
キョロキョロと辺りを見回し小首を傾げている。
狙ってやってるとしたら悪魔、まぁこのヒト……さっきも思ったけど天然なんだと思う。
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