living.2

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気分はもういいのか、顔色の戻った天然悪魔な彼女が、俺を見ないままポツリとつぶやく。 「……あたしの着替えは?」 「さぁ?」 着替えなんて、そんなもの知らない。 母親達も荷物は何も持ってなかった。 「脱がせましょうか?」 「──断る!」 冗談で言ったのに全力で拒否されたよ。 こういう反応、俺的にはめちゃめちゃ新鮮。 周りにこんなタイプがいなかったわけじゃない。 ただ、めんどくさそうな気がして避けてたんだ。 「………はぁ、お母さん何か言ってた?」 そのため息は、なんかいろいろ諦めた感じに聞こえる。 「荷物は業者に頼んでるらしいですよ。あと、あなたとは一緒に住めないのかって、僕脅されました」 「……おかん!ヒトを脅すなよ!」 イヤ、ソレ俺に言われてもね? 「まぁいっか。荷物って今日届くのかな」 掴めないヒトだ…… さっきは帰るとか言ってたくせに、ここに住むことに対してもうすでに否定をしない。 諦め? そんな簡単に? 「ねぇ、お話しましょうよ。あなたの名前もう一回教えて」 「五十嵐雷です」 「雷、でいい?あたしより年下だよね」 中庭での警戒心なんてひとっつもない、ニコニコした笑顔。
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