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その日の夕方には、ニ人分の荷物がいっきに届いた。
荷物の異様な多さに呆然としてるヒマはなく、着物だったあたしは自分の分の箱を開け服を探す。
……それにしても、あたしのマンガが一冊も入ってなかったわ。
処分はしてないだろうけど、してたらあたし死ぬよ?
雷は仕事だって言って出て行った。
あれから少し話はしたけど、なんの仕事してるかは聞いてない。
帰って来ない仕事って、なんだろうね?
荷物が届く前に仕事だと言って出て行ったけど、それから三日帰って来ない。
どんな仕事だよ。
連絡先聞き忘れたから、電話かけることもできないし。
っても、今実家にいるから、もし今雷が帰って来ててもわかんないけど。
そんなことよりも、命よりも大切なマンガを取りに来てます。
全部は持っていけないから少しずつ。
持っていきたいけど!
「あげは、雷くん出てるわよ」
マンガ以外何もない部屋でマンガに埋もれてると、お母さんがわざわざ呼びに来た。
出てるって何?
ここに来てるじゃなくて?
その前にここ知らないか。
「あら?あげは何も聞いてないの?」
「なんの話?」
キョトンとしてると言うより早いと、手を引っ張り立たされリビングに連れて行かれる。
もう、めんどくさい。
口で説明してよ~。
あたしは今、雷よりマンガなんだから。
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