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「テレビ見て」
お母さんにテレビの真ん前に座らされ、指差す先を見てみる。
情報番組の一部のコーナーに、キャスターのヒトと楽しそうに話すメガネをかけた男のヒト。
……ん?
全然知らなかった。
メガネをかけているとは言え、そこに映るのは紛れもなく雷本人。
雷ってばげーのーじんだったの。
げーのーじんだったんだと感心するあたしの隣で、お母さんは右手を頬に当てハフッと息を吐く。
「いつ見てもキレイよね~、肌」
え、そこなの?
そこじゃないでしょ。
ってか、お母さん知ってたんだ。
根本的にテレビを見ないあたしからすれば、見合い相手がげーのーじんだったってことに多少驚くだけ。
雷がどんな仕事をしてるのか、正直なところ興味はほとんどない。
メガネをかけた雷に違和感を感じ眉を寄せて見ていた。
振り撒く笑顔が胡散臭い。
テレビのお仕事してるから、だから三日も帰って来ないのか。
なんとなくだけど、やっと納得。
ボーっとテレビの中にいる雷を見つめながら、今日は帰ってくるのかなぁとか考えていた。
半年でこの男にオトされるのか、なんて考えてるとコーナーが終了しCMに入る。
家電製品のCMが流れるそこにも、やっぱりメガネをかけてる雷の姿。
世の女性方をトリコにしそうな、爽やかな笑顔を振り撒いてる。
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