living.3

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さっきも思ったけど、つまんない笑い方。 それならこの間の企んだような笑い方とか、見下したような笑い方の方が人間味があって、そっちの方が全然いいと思う。 再びCMが変わると、今度はお母さんの大好きなイケメンが登場した。 「あ、そうだ、ハイこれ」 「ん~?」 立ち上がり伸びをしていると、イケメンを見ながら何やら紙を渡してくる。 それは『婚姻届』。 ………こ、婚姻届!? なんで!? あたし達、お互い結婚するつもりないのに! ソレを言ったら、いろいろうるさそうだから言わないけど。 お見合いもした、一緒にも住んでる、でも…結婚する気にはなれない。 「出すのはあんた達のスキな日に出せばいいわ。明日出そうが一ヶ月後に出そうが、別にいつでもいいのよ」 CMが終わり、お母さんはやっと振り向いて話してくる。 「気持ちの問題だから」 「……そのわりには、同居させるの早いわよね。それに証人の欄も」 そう、この婚姻届、本人達がペンを入れる前に、すでに証人の欄は埋まってしまっているんです。 「ソレはソレ、コレはコレ」 「意味わかんない……とりあえず、帰る」 マンガ取りに来ただけが、なんでこんなモノまで持たされることに… もしかしたら、一生縁のなかったモノ。 その紙に触れて案外薄っぺらいんだなって、どこか他人事のようにソレを見ていた。 元自室に戻り紙袋に入れた、厳選に厳選を重ねたマンガを手に持ち玄関へ向かう。
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