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「今度は雷くんと来てね」
別に見送らなくてもいいのに玄関まで来るお母さん。
目的は先ほどのお言葉。
「じゃ、またマンガ取りに来る」
とりあえずスルーして家を出た。
真夏の陽射しがハラ立つほど照りつけてる。
しかも、こんな大荷物抱えてる時に限ってケータイ鳴るし!
もう!家出て何分も経ってないって!
「何よ、月海じゃない」
画面に表示されてる親友の名前に悪態をつく。
月海は今現在あたしが住んでる高級マンションを手配してくれた、スバラシキ親友様。
出るのイヤだなぁと思いつつ鳴り止むのを待ってみるけど、取らない限りいつまでも鳴らし続ける。
という、念、みたいなものが…
はぁ……
「何か」
『あら、ご機嫌芳しくないようで?』
不機嫌極まりない声で出れば、月海はめちゃくちゃ楽しそうに話してくる。
「スバラシイお部屋を紹介していただいたのに、機嫌が芳しくないだなんて。あったり前過ぎてため息出てしまったわ」
『まぁ、いいじゃない。これでやっとあげはも落ちつけるんだから』
…それをバツイチの月海に言われたくない。
でもコレ、言ったら言ったで機嫌がすこぶる悪くなるし、宥めるのもめんどくさいから言わないけど。
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