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「ちょっと待って、お見合いはしたけどまだ結婚の承諾はしてない」
賭けの承諾はしたけど。
『はぁ?一緒に住んでるのに?ってか、早く帰って来い、いつまでもエントランスで待たせるな』
イヤ、あんたがそこにいるって知らないし。
来るなら事前に連絡を寄こせ。
そもそも来るな。
「……魂胆はわかってるわよ。見合い相手が見たいだけでしょ」
『ソレ以外何が?』
ウソでもいいから否定しなさいよ。
いっさい期待はしてなかったけど。
「……月海だけ?」
『他に誰が?』
「あんた子供…あぁ、学校か。七夕は一緒じゃないわけ?」
『七夕?呼ぶなら連絡するけど?』
だいたい三人で集まることが多いんだけど、今日はいないらしい。
「イヤ、別に呼ばなくていいけど。どうせ、七夕には聞かれたくない愚痴でしょ?」
『よくおわかりで』
わからいでか。
七夕抜きの日は必ずと言っていいほど、七夕のダンナ…自分の兄の悪口ばっかじゃない。
聞く方の身にもなれ。
「……まぁ、あと五分待ちなさい」
『三分で』
「ムリ」
無理難題を押しつける親友に、一言言い切ってそのまま電話を切った。
実家からマンションまでは近くて、徒歩約十分というところ。
電話しながら歩いてたけど、肉眼で確認できるマンションは一向に近づいてる気がしない。
片手で荷物持ってたから右手が限界にきてる。
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