living.3

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ホント、前以って連絡欲しかった。 まっ、少し遅くなっても大丈夫でしょう。 急かしてたけど、実際何分でも待つヤツだし。 ヒトが待ってるってわかっててそんなのんびりは行かないけど。 目安で五分って言っただけであって、実際は何分かかることか。 住宅地だけど信号あるしね。 ホラ、赤。 「あげはさん?」 赤信号で止まってる車から、大きな声で名前なんか呼ばれちゃって…… ………え?あたし? バタンッと音がして駆け寄って来る靴音。 「あ、やっぱりあげはさん。何してるんです?こんなところで」 横に立つソイツは、さっきテレビで見たばかりの顔。 ただし、メガネなし。 それにしても、メガネ一つで変わるって詐欺じゃない? 「あげはさん?聞いてます?」 「…あぁ、うん、聞いてるよ。マンガ取りに実家戻ってただけ」 言って、両手に抱えたマンガを見せる。 あたしが話をちゃんと聞いてたことが不満なのかなんなのか、なぜかつまらなそうな表情をする。 「あたしのことより、車じゃないの?」 「うん、送ってもらっただけ」 「ふーん、げーのーじんは大変ね?」 何がどう大変なのかさっぱりわかんないけど、青に変わった横断歩道を渡りながら首を傾げて言った。 だって、大変じゃない仕事ってないだろうし。 「気づいてたんですね」 「イヤ、さっき母親が騒いでて初めて知った」 すまないね。 今のところ現実の男に興味はないのだよ。
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