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「……気をつけた方がいいよ?いろいろと」
「あげはさん、それってどういう意…」
「遅い!」
どういう意味だと聞きたかったんだろう。
だけど、第三者の大声に掻き消された。
第三者って、もちろん月海だけどね。
「悪い」
仁王立ちする月海に詫びるけど、悪いなんてちっとも思ってない。
思ってたら時間短縮のために走ったりするって。
「わかってたけど、ヒトが待ってるのにのんびり歩くな!」
「あんたが勝手に待ってただけ。前以て言ってくれてたら時間行動するわ」
まぁ、待ってるの知っててのんびりしてたのは、さすがに悪いかもしんない。
でもな、途中で雷に会ったしな。
「…えっと、あげはさん?」
「ん?あぁ、放置でごめん」
困ったような雷に声をかけられ、軽いノリでとりあえず謝る。
やっぱり悪いとか思ってないし、ひとっつも。
「ほほぉ、こちらがお見合い相手?」
テレビに出てる人間だとは気づいてないのか、月海は雷を上から下までマジマジと舐めるように見る。
まるで、品定めをしているかのように。
してるんだろうけど。
当の雷はそんな月海にタジタジになっている。
キャーキャー言われることはあっても、静かにマジマジと見られることはないだろう。
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