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「だって、テレビ出てても同じ一般市民じゃん。あんた、エラいの?違うでしょ?」
「そうですね、エラくはないです。そんな考えを持つヒトに初めて会いました」
なぜか感心する雷は、ニコニコと笑顔を振り撒き月海の両手を握りしめた。
「…何」
あからさまにイヤっそうな顔をして、でも振り払うことはせず小さく聞く。
「イエ、お友達になれそうな気がしまして」
「あらそう?私は仲良くなろうとか思わないけど」
怒ってる時のみ振り撒く極上笑顔を雷に向け、振り払いはしないけど手を離した。
あ~あ、怒らせちゃって。
まっ、あたしの知ったこっちゃないけど。
「そういえば、なんでここに来たんだっけ?」
助け船を出すつもりはいっさいないけど、月海のここに来た理由を忘れたために尋ねた。
怒らせたことがわかったらしく、雷は大人しくして口を挟まない。
「そうよ、愚痴言いに来たんだった。もう、聞いてよ、バカ兄貴がさぁ」
中途半端なところでハフッとため息。
途中で切らないでいいからさっさと言って。
月海の兄は言わせてもらうけど、天然バカ。
ソレに振り回されてる月海は今日もうんざりした表情。
「実家に帰って来やがった」
「え?どゆこと?」
まさか、離婚とかそんなことありえないんですけど。
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